「義経」の丹後局、1991年「太平記」

No.3527

 悪代官・美川先生にまんまと騙された善良な民衆の山田でございます。しかし、正義は必ず勝つ。美川先生には秘密のメールを送っておきましたので、これで1勝2敗です(?)。

 恒例の「大河ドラマ・義経」コメント、なかなか出てきませんね。石浜さんに遠慮したということもないのでしょうが、今日は野口先生だけかな?
 細かなことは他の先生方におまかせするとして、驚愕したのはなんといっても、夏木マリさん演ずる丹後局=高階栄子の初登場。中江有里さんの建春門院とは全然タイプが違い、後白河さんの女性の好みがぜんぜんわからなくなる配役ですね。清純タイプから妖艶(というより妖●)タイプへ急転回とは、法皇さま、幽閉されたショックがかなりひどかったのかな?
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 ちょうど、土曜日の夕方のスカイパーフェクテレビで、1991年大河ドラマ「太平記」(真田広之主演)の全作品放送をやっております。懐かしいので録画しているのですが、今見直しても内容が濃いですね。真田広之さんの初々しい足利尊氏もいいし、武田鉄矢さんの土臭い楠木正成もステキ。しかし、なんといっても絶句ものの怪演は片岡鶴太郎さん演ずる北条高時。おそらく、実物以上に実物らしいんじゃないかと思われるほどでした。

 このドラマも、史実をねじ曲げているところはもちろんあります。しかし、その「虚構」の説得力が無類なんですね。足利高氏が上洛して道に迷って醍醐寺に入ってしまい(どんな道の迷い方なんだ!)、お忍びで行幸していた後醍醐天皇と出会う、なんてのは、学問的にいうとまったく噴飯ものといわねばなりますまい。
しかし、この出会いが高氏の後醍醐に対する愛着という、ドラマ全体を通じる強い伏線を創り出していくのであり、充分な必然性を持っているといわなければなりません。その上、このシーンがドラマを通じての最高の名場面になっている。(前にも触れたように)後醍醐を演じるのは歌舞伎界の名優・片岡孝夫(現・仁左衛門)。その光り輝くばかりの美しさ、上品さ、高貴さ。高氏ならずとも思わずその魅力に引き込まれてしまいそうになります。ここまで確信を持った素晴らしい「虚構」を構成されると、歴史学者としても白旗をあげるしかないように思います。
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 旗で思い出した。1991年の放映時にはわからなかったことですが、笠置山の後醍醐天皇行在所には「錦の御旗」が翻っています。これが、現存する唯一の中世の錦旗である永青文庫所蔵品の忠実な再現だということに気付きました。同品は、かつて京都文化博物館で「京都・激動の中世」という展覧会をやった時に借用しましたので、良く知っています。こんなところにも、なかなか時代考証が効いてるんですね。

秘密のメール 秘密の連載

美川圭
No.3529

>山田先生。おそろしげな秘密メールをどうも。
夜中にあの声がコンピューターのスピーカーから流れてきたときは、
ぞっとしました。

実は、今回の『義経』まだ見ていません。録画はしてあるのですが。

というのも、以前話題となった、もう一つの「乗合事件」について、
9枚ほどの原稿をさっきまで書いていて、いま終わったところです。
とあるところ(秘)で連載中の原稿なのです。
2ヶ月に1回で、第3回目。
前回大河ネタにちょっと振ったら、担当の女性編集者が、
ぜんぶ大河ネタでやってほしかった、みたいなことだったので、
期待に沿うべく、今回は、全面的に、乗合事件で書いたのです。
まあ、未熟とはいえ、『平家物語』の史実改変のしかた、について、
自分なりに見なおすきっかけになりました。

毎回、1日しかかけないつもりの原稿なのですが、
2ヶ月に1回でも連載はつらい。
週1回の週刊誌連載をされていた上横手先生の凄さを、
あらためて思います。

やはり、「年寄」のぼやき

美川圭
No.3532

大河「義経」今まで、仕事だと思って我慢して見てきたのですが、
野口先生や山田先生の書き込みを見て、どうも見たくない。
娯楽だったら、とうに見なくなっているところなのですが。
仕事なのだ、がんばろう。でも元木先生もさすがに、
昨日は挫折したようだし。

くだらん、くだらん、と思いながらも、
毎週見てしまうドラマというのは、
やはりそれなりの力をもっていた番組だったんだと、あらためて思います。
いいところで「続」で、もうこんなところで終わって。というやつね。
昔は、ずいぶんそれがあって、おかげで勉強ができなくて・・・

ああいうテクニックもない素人集団が、ドラマを作っているんでしょうね。

ということは、野口先生のおっしゃるように、
講演や原稿のネタに、大河が役に立たない。
仕事上もつらいです。

もうすでに、大学の授業では、まったく使い物にならなくなって、
久しいのですが・・・・。

Re: 「義経」の丹後局、1991年「太平記」

No.3540

『義経』ヴィデオで見ました。
 頼政の描き方、もうちょっと何とかならんか?知盛の目の前で、自宅に放火し、悠々と姿を隠すかね。あれでは、焼身自殺にしか見えませんね。
 仲綱役はたしかに、馬面に近い俳優でしたね。
 以仁王の、ステロタイプの人物像もひどい。以仁王の歴史的役割など、全く顧慮する気もないようです。でも、偽殿下乗り合い事件と異なり、『平家物語』そのままに近いから、まだマシか?
 山田先生のご指摘通り、あの丹後局もひどい!後白河周辺の人々は得体の知れない怪人ばかりとでも言いたいようです。
 まずはあんなものと思えたのは、大杉漣の行家でしょうかね。
 でも突然「八条院蔵人」になったというナレーションがありましたが、視聴者には何のことか分からないのではないでしょうか。