『義経』見ました

No.3037

遅れましたが、あけましておめでとうございます。
元木先生、展覧会情報をありがとうございます。

さきほど、ハイビジョン放送で、一足早く、
『義経』を見ました。
最近の大河の傾向とは異なり、きわめて正統的な作りで、
好感がもてました。最近、新味を出そうと、変なことばかりしていましたから。
まだ、見ておられない方が多いでしょうから、具体的な話は避けます。
それでは。

Re: 『義経』見ました

No.3039

 BS2では午後10時からのようです。大河ドラマは8時からとは言えないので、ネタバレにも注意ですね。

 ぼーっとして、テレビをつけたのは15分経ってからでした(;^_^A アセアセ…
 “変なことばかりして”という美川先生の仰るとおりで、『義経』第1回は安心して見ることが出来ました。
 (特に頼朝の子役の演技が違和感なく上手いなぁと思いました。上戸彩が出てくるとどうなるかちょっと不安ですが..)


 では、第1回の感想スレッドはここからスタートですね↓

 みなさんよろしくお願いします。 

Re: 『義経』見ました

No.3040

 今年の大河ドラマの見所の一つに、最近の研究成果の反映と言う部分があります。もちろん、国民全体を視野に入れた視聴率の獲得こそ、目下苦況にあるNHKの重要課題ではありましょうが、宮尾登美子氏の『宮尾本平家物語』をチラチラ読んでみると、結構最近の研究成果が活かされています。たとえば、上総介広常の勢力が上総一国のみならず、下総にまで及んでいた・・・などとあって、よく新しい情報を反芻されているな、と思った次第。それもそのはずで、「あとがき」を見ると、佐伯真一先生御夫妻への謝辞が書かれていました。
 おそらく、脚本担当者も最近の一般向けに書かれたこの時代を対象にした歴史の本には必ず目を通していることと思います。そして、今回の大河ドラマの清盛像は明らかに元木先生の『平清盛の闘い』の清盛像が反映しているようです。
 してみると、われわれ同業者には、これまでの映画や大河ドラマとは違った見方が要求されるように思うのです。
 どこが元木先生のオリジナルの清盛像が反映された部分なのか、メンバー諸姉兄はしかと視聴してください。

 追伸:それにしましても、みなさんスカパーとかハイビジョンとか、お金持ちですね。

風俗考証の面から

No.3043

 風俗考証の面から一言。細かい点を言い出すと切りがありませんが、ひと頃と比べて、各段に良くなっていると思います。

 しかし、たとえば武具や戦闘の事に限ると、義朝やその他が烏帽子に白鉢巻をしている点、短刀に鐔が入り、その刀身が鎬造である点、同じく長刀に鐔が入っている点などは、いまだに改善されていませんねえ。これらは源平時代にはない風俗なのです。

 また、戦闘の事に関しては、手前味噌ですが、最近の研究成果は反映されていませんねえ。特に弓箭はあくまで歩兵が使って、騎兵は弓箭を佩帯していながら、太刀や長刀で戦っている。私の考えでは、このような戦い方は南北朝期以降の戦い方で、源平時代の戦い方ではありません。というか、結局はチャンバラ指向なんでしょうね。

 さらに、冒頭の義経の鎧にお気づきなかった人はいますか?じつは大鎧ではありません。大山祇神社に国宝として一領のみ現存する腹巻鎧(中世の用語で)という様式の鎧です。この遺品は、義経奉納といわれています。だから、採用されたのでしょうが、その根拠はなく、通説では平安末期の遺品と考えられていますが、各所に特殊な様式を含んでおり、南北朝期の鎧という説もあります。そもそも腹巻鎧という様式が特殊です。個人的な感想としては、こうした鎧を義経に着用させることにはあまり賛成できません。ただし、冑の方は、鍬形の様式や鉢の様式など、平安末期の様式で再現されています(ただし、義経など一部の武将の冑のみですが)。

 とはいえ、端からみて批判するのは簡単です。私自身、風俗考証の難しさは充分に承知しているつもりです。予算やその他様々な理由から、完全な風俗考証などできません。ですから、ドラマとしてみれば、さすがはNHKだと思います。

大河ドラマ『義経』

No.3044

 OP映像に「おお~」。大がかり!さすがNHK。そして、さすが義経の見せ場でした。(歴史に興味のない姉に、状況説明をするのが大変でしたが )
 大河ドラマは小さい頃から見ていましたが、昨年の「新撰組」は最初と最後を含む数話、一昨年の「武蔵」に関しては一度も見る気にならなかった事を考えると、今回の「義経」は格段に良いのではないでしょうか。内容に関しては、女性がどのように描かれるのかに、とても興味を持っています。是非、色んな成果を盛り込んでいてほしいものです。
 風俗考証については、近藤先生の書き込みに「なるほどなるほど・・・」とメモ帳にコピーしてしまいました。昨年の秋から、義経については3度にわたって野口先生のレクチャーも受けていますし、今年の大河ドラマは色々な意味で楽しい勉強になりそうです。

>野口先生
 「宮尾本」と言うと、まるで一諸本のようですね(笑)
 そのうち「宮尾本」で卒論を書きたい・・・と言う学生が出てこないか心配です!

Re: 風俗考証の面から

No.3045

待ってました、近藤先生。
鎧のことはともかくとして、
なぜ、騎兵の騎射がドラマに採用されないのでしょうか。
ただ、知らないのか、それとも作りにくいのか、
ぜひとも演出家の意見を聞いてみたいところです。
映像面でも、騎射の多用は、合戦シーンの迫力を、
はるかに増すと思うのですが。
正直言って、第一回目の冒頭の一の谷シーンも、
あまり上出来な合戦シーンとは思えませんでした。
ドラマの最初ですから、
相当に力を入れて作っているんでしょうけれど、
どうしても演出家の力量不足を感じてしまいます。

Re: 『義経』見ました

No.3047

 久しぶりに大河ドラマを見物いたしました。これから講演などのネタに必要ですから、毎回見させてもらおうと思います。
 冒頭の夜襲シーン、何のことかと思えば一の谷、鵯越の逆落としのようですね。平氏が寝ているところを襲撃したのでは、三草山合戦になってしまいます。近藤・美川先生ご指摘のように、騎射ではなく太刀を振りかぶるのも、一般的時代劇のチャンバライメージにこだわっているようですね。義経を『総大将』とするナレーションも問題だし、生田での合戦は始まっていたのかどうかもあいまいでした。東の木戸で合戦中に、一の谷でまだ武具も身に着けていないのもおかしな話です。激しい合戦のさなかに突入するように演出すれば、もう少し壮大な合戦場面になりそうなのですが。予算の関係ですかね。
 ちなみに、近藤先生ご指摘の大山祇神社の腹巻は、以前の66年の義経でも用いられていたように思います。
 保元、平治の説明はあまりに乱暴で、呆れてしまいました。本筋と関係ないのでしょうが、もう少し何とかならないのかね。都に仕える武士の中で、源氏と平氏が台頭したとの事。じゃあ、ほかに誰がおるんや?何、秀郷流?いや、それは、その・・・
 細かいことを言えば、敗走する義朝に常盤親子が別れを告げに行くのも無理な設定ですね。
 今日の主役は、稲森いずみの常盤でしょうな。トレンディー女優のわりには、常盤の哀れさをそれなりに演じていたかと思います。ただ、都第一という、凄い美人の設定に相応しいかどうかは意見が分かれるでしょうが。それより、牛若役の赤ん坊の可愛らしさが断然光っておりました。
 なお、予告だと常盤が清盛の妾になると、連れ子の義経が清盛と親子同然の付き合いをするとのこと。これも如何なものでしょうね。後三年合戦の清衡のイメージでしょうか。しかし、常盤には安倍頼時の娘のような権威があったわけではないですし。これも違和感を感じてしまいます。
 頼朝助命も、昔ながらの演出でした。後白河や上西門院あたりが出てくれば面白いのに。
 多少気になったのは、原作では重要な物語として描かれている清盛の生い立ち、母の話を、お徳のせりふで説明させようとしておりました。場面も長ったらしいし、原作を読んでいない人には分かり難かったのではないかと思いました。
 これも余計なことですが、「正露丸糖衣」とか、二時間ドラマの悪役とかの演じる平氏一門も何となく貧相に思えます。これに、漫才関係者が重要な役どころで加わると、どうなのかなと気になっております。ついでに言うと、松坂慶子も声に重みがなく、現代劇ならともかく、これからの重厚さが必要な老け役は大丈夫かなどと案じられます。
 まあ、あれこれけちをつけましたが、総じていえば、品格ある伝統的な大河ドラマだし、最近の研究成果も少しでも盛り込んでもらえれば、と念じております。

ゼミの諸姉兄はいかがでしたか?

No.3048

 小生をはじめとして、商売がらみの立場からの感想が続いておりますが、ゼミの諸姉兄の率直な感想をうかがいたいものです。
 元木先生門下に祗候したからには「武士論」(も?)と、張り切っている長村君。『平家物語』には欠かすことのできない斉藤実盛の一族(だけ?)を研究対象にしている山本君。同じく冬休みは近江佐々木氏に没頭した(にちがいない?)山内さん。水無瀬離宮研究の前提として白河・鳥羽・法住寺殿も勉強している(はず?)の平田さん。新たなる女院論(の構築?)を目指す山岡さん。・・・さらには、文学作品としての『平家物語』研究の視角から門屋君も。また鈴木君(卒論で忙しいでしょうから後日で構いませんが)には、情報教育の立場で大河ドラマをいかに評価するか・・・等々。ほかに、お名前をあげなかった皆さんも、積極的にどうぞ。こちら(商売がらみ=職業として日本中世史学にかかわっている者)としても大いに参考になるのです。

後白河と頼朝

No.3049

元木先生のコメントを読んでいて、思ったのですが。
せっかく、平幹二郎という2人といない名優を、後白河にあてているのですから、
第一回で、その本領を発揮させてほしかったですね。
彼の配役は、当然、「男色」を考慮に入れた人選でしょうね。
そのことを、演出家がわかっておれば、
五味文彦先生の説があるのですから、
その説の存在を平さんに、それとなく演出家が示唆して、頼朝と後白河が会うシーンを、
一つ入れ、平さんにそれこそ、思う存分、顔だけの演技をしてもらう。
NHKですから、あからさまなかたちで出すわけにはいかないでしょうから、
それを示す「密やかな視線」などを屈指してもらう。
そうすると、頼朝がたすかった深い理由が、ドラマ的にはぐっと説得力をもって、
せまってくるし、当時の武士と王家との関係も、その一端が描ける。
そういうふうに、思います。私が演出家だったら、やるけれどもね。
「平さん、ここが本領のみせどころ。いろいろクレームが(不敬であるとか)ありえるので、あくまでもさりげなく、そのことを演技で示し、視聴者に印象づけていただけますか」

基通と戯れる時代と逆行した「狂王」としか描かれない心配があるので。

Re: 『義経』見ました

No.3051

毎回毎回、見ようと思いつつサボってしまう大河ドラマ。
今回はゼミとのご縁もあるので、見逃さないように頑張ります。

わが家では昨日のテーマと関係なく、

 ① 当時の五条大橋は今の団栗橋か松原橋のどっちか?
 ② 「山科区血洗町」は義経か弁慶のどちらが血を洗った場所か?

という、持ち合わせている中途半端な知識から来る疑問についての討論が行われました(笑)。
②は全然関係なかったりして・・・。

わが家には日本史専攻はおりませんので、間違っててもご勘弁くださいね。(^^;)

Re: 『義経』見ました

佐伯真一
No.3052

出遅れました。我が家は牛若がかわいかったってばっかりで…。
>野口先生 いや、私はそんなに大した「最新情報」は提供してません。学者の協力のメインは三木先生ですし。ただ、宮尾先生は、史料や古典作品そのものにあたることにはとても熱心でした。平家諸本や『玉葉』『吾妻鏡』は言うに及ばず、『公達草紙』や『平家花揃』あたりに至るまで、周辺の史料や文学で、材料になりそうなものは一通り目を通していることと思います。うちの女房の最大の仕事は、『今鏡』をかたっぱしから朗読した録音テープを作ることでした(重要なところを読む前にざっとテープを聴いたようで)。
 でも、制作の人たちがみんな「最新情報」をふまえているかどうかは、ちょっと疑問です。先日、予告編で、「奇襲というものがなかったこの時代」という言葉を聞いてびっくり(たぶん幻聴ではない)。お膝元から出してる『歴史文化ガイド』を読んで欲しいのですが。
>元木先生 上記の点にからんで、「坂落」については奇襲のイメージを強調しようとしているようですね(今回は予告編みたいなものなので今一つよくわかりませんが)。『平家物語』諸本でも、義経が一ノ谷の近くに到着した時間はけっこう曖昧というかまちまちですから、夜明け前に平家陣を見下ろしたぐらいなら、まあいいのですが、武装していない人たちがうろたえていたのは何だったのでしょうか。
>田中さん 私の場合、何年も前に森村誠一の『平家物語』だけ読んでレポートを書いてきた学生の相手はしました。「これは現代の創作だからさ…」「えっ原作とは違うんですか?」というような調子。吉川英治を援用してくるのは何人もいますね。
 全国の大学を探せば、あるいは既に「宮尾本」の卒論も出てるのではないでしょうか。現代文学として扱う分には全然問題ないと思いますが(アニメの卒論も既に多いのでしょうし)、古典も読んだ上での比較を鉄則としていただきたいところです。

Re: 『義経』見ました

No.3053

我が家では、常盤の美しさと赤ん坊のかわいさが話題になりました。つまり、稲森演ずる常盤は、確かに美しいが、あの当時都一と評判を取った美しさとは、あのような美しさだったのだろうかということです。余りに現代的な美しさのように感じました。時間を遡らせることができるのならば、沢田研二が光源氏を演じた時の若紫役叶和貴子に演じてもらいたいものです。現代では残念ながら思い当たりません。赤ん坊も本当にかわいかったのですが、昔の赤ん坊のかわいさの基準のようなものはありますかねえ。目もくるりとして、現代の赤ちゃん雑誌に出てきそうな子ですが、中世のかわいい赤ん坊もあんな感じでしょうか。もしご存知の方がいらっしゃったら教えて下さい。こんなことを考えて見ていたのは、私たちだけでしょうか。