連休レポートその①

永富 絵里子
No.1941

先日(といっても連休前ですが)、高木さんに誘われ京都芸術劇場へ”創生「幽玄の観樂」”http://www.k-pac.org/theatre/koen/2004/sy040429/index.htmlを鑑賞しに行ってきました。
素晴らしいステージだったのでここにレポートを書かせていただきます。

たまたま高木さんと卒論の話をしていたら話がはずんで仏教と音楽の話になり、もし興味があるなら 聲明で有名な中山玄晋さんのステージがあるよ・・・ということで連れて行ってもらうことになったのです。
このステージはどういうものなのか簡単に説明するとツトム・ヤマシタという世界的な打楽器奏者(←彼は一時期より良いサヌカイトを求めて京北町へ来ていたらしい)が能楽師、観世榮夫さんと組んで「観樂」という新しい芸術を創生し、それは音と動きと謡いと物語を融合し「観ながら音楽を楽しむ」というものです。
そこへさらに、国際的に知られている横笛の赤尾三千子さんと声明の中山玄晋さんを迎え、幽玄の世界を創り出す・・・というものです。
ステージが開演すると、ツトム・ヤマシタのサヌカイト演奏からはじまり、次第にそこへ中山玄晋さんの声、観世榮夫さんの能、赤尾三千子さんの横笛・・・と徐々に要素が加わってゆき全部がそろった時ありきたりな表現ですが、まさに自分が今さっきまで座っていた劇場からどこかの世界へ飛んでいったような錯覚を受けました。(「普段から飛んでいってるじゃないか」というつっこみはナシですよ☆笑)
また、その幽玄の世界を表現する要素として大きく関わっていたのが照明効果でした。
いわゆる普通の赤や青に変わるスポットライトだけでなく、背景として現代を象徴する映像やCGが使われていたことも印象的でした。
ツトム・ヤマシタのステージは小学校に入るかはいらないかぐらいの頃に、一度黒田小学校(京北町)で催されているのを両親と見に行ったことがあったのですが、そのときは「きれいな音やな~」と思ったぐらいしか記憶がないので今回あらためて聴くことができたこともよかったです。

もしこのようなステージに興味があられる方、おられましたら五月二十九日にまた同じく京都芸術劇場で「 聲明(しょうみょう)と雅楽(ががく)でおりなす舞楽法会(ぶがくほうえ)」http://www.k-pac.org/theatre/koen/2004/sy040529/index.htmlという公演もありますので見に行ってみてはいかがでしょうか?

以上、レポートでした♪

立命館シンポレポート(全)

No.1947

 永富さんの連休レポートの間に失礼致します。
 >永富さん カラーボックス(木目調)2コ、研究室に持って参りました。お気に入りましたら「鈴木運送のカボチャの馬車」のお手配をどうぞ。

 さて、昨日のシンポ「歴史と文学のはざま」には、主催者側のお立場で永井路子氏の送迎役をつとめられた滑川さんは別格として、田中・山岡・山内さん、山本・野口君が参集。終了後、花園大学の山田先生御夫妻とともに2時間ほど歓談にときをうつしました。
 さて、まず永井路子氏の基調講演ですが、タイトルは「歴史小説を書きながら-小説家、史料を読む-」というもので、『吾妻鏡』の曾我兄弟の仇討ちと源範頼・大庭景能・岡崎義実失脚に関する記事を提示して、仇討ち事件の背後にあるものを追究したお話しでした。すでに、多くは氏の著書で拝読したことのある内容でしたが、さすがに『吾妻鏡』を徹底的に読み込まれ、また東国武士団の動向に通暁されているだけに、たいへん面白く拝聴致しました。京都では東国武士団に関する細かい話は、する一方で、聞く機会はほとんどありませんから、その意味でも楽しかったのです。
 講演1は、大山喬平先生の「歴史の面白さ-その事実と叙述と-」。『峰相記』は地域史の歴史叙述として評価すべきこと、歴史は事実だから面白いこと、また、悪党と臨済禅の結びつきなどを指摘されました。
 講演2は、源健一郎先生の「歴史を物語る仏法-『平家物語』の作られ方・読まれ方-」。例によって実に明晰な論理展開でわかりやすく、延慶本は山門色、盛衰記は南都色が反映しているのに対して、覚一本は宗派的な偏向を排しており、それゆえに文芸作品として広く流布するに至ったというお話しでした。
 シンポでは、五味文彦先生の王殺し論にたいする永井氏の批判などがあって面白かったのですが、小生としては、永井氏の主張されるような通説的な北条氏小土豪論の克服に向けて、なによりも『北条時政』執筆の意欲をかき立てられました。
 平日の企画としては贅沢なもので、会場の立派さなど、さすが時代の先端を行く立命館だと思いました。
 
 当方主催、6月26日(土)の公開講座(NO.1717参照)は「大教室」が会場ですが、歴史学の高橋昌明先生・国文学の兵藤裕己先生という両大家をお招きしての開催ですから、おおいに充実したものにしたいと決意を新たにした次第であります。全国から多くの皆様が御参集されますことを期待いたしております。

立命館シンポ御礼

源健一郎
No.1950

昨日のシンポには、野口ゼミの皆さん、お揃いでお越しいただき、ありがとうございました。
何せ永井先生、大山先生という両碩学の間で緊張の極致にありましたので、壇上からお顔を見知った皆さんのお姿を「発見」した際には、何かしら心強く感じられ、多少は落ち着くことができました。とはいえ、聴衆に年輩の方が多かったので、ついついいつもカルチャーで喋っているような、くだけた話口調となってしまい、特に野口先生、山田先生には大変失礼をいたしました。ご容赦下さい。
また、滑川さんには当日、大変お世話になりました。この場をお借りして御礼申し上げます。
なお、御礼がすっかり遅くなってしまいましたが、「紫苑」第2号を野口先生から頂戴いたしました。ありがとうございました。野口ゼミの皆さんの今後ますますのご活躍を祈念いたしております。
6月26日の公開講座の方も、楽しみにしております。ご準備が大変かと存じますが、どうぞ皆さんご自愛下さいますように。

ありがとうございました。

No.1952

 源先生。御丁寧な御挨拶をいただき恐縮しています。やはり、壇上からわれわれ一団は識別できましたか。
 小生、右目はひどい近眼、左目は老眼で、合う眼鏡がなくなり、現在も古いフレームにレンズをセロテープで貼り付けた眼鏡をかけてパソコンに向かっているような有様ですから、シンポの当日もこちらからは講演者のお顔ははっきり見えず、ステージの上は照明が明るいが、客席は暗いからさらに見えないだろうと安心して、行儀の悪い格好で聴講しておりました。失礼をお詫び申しあげます。
 当日は午前中は授業の上、JRのダイヤが乱れていたとのことで、さぞ大変だったとことと思います。にもかかわらず、時間も正確に実に明快なよどみない御講演に感心いたしておりました。頭脳がフルに活動し、体力もおありになる、若い優秀な研究者こそ、市民対象の講演会などの講師にはふさわしいのだということを実感させられました。大学の授業も同じですね。
 小生、不勉強ゆえ研究会でのお話はついていけませんので、今回のような語り口のお話がちょうどよく、おおいに蒙を啓かれました。あつく、お礼申しあげます。
 今後とも、当ゼミへの御助力をよろしくお願い申しあげる次第です。