近藤先生「武士道という虚構」

No.1787

 「近藤先生」というと近藤勇みたいですが、近藤好和先生が、当掲示板で映画「ラスト・サムライ」について議論かまびすしかった折りに予告された、上記タイトルの御高論が、吉川弘文館の広報誌『本郷』51号に掲載されております。ぜひご高覧のほど。
 今日の日本人一般の武士認識を考えるに、すくなくとも、中世前期の武士の実像については、そのさらなる解明とそこで得られた成果の社会還元に勤めなければならないと、小生も気を引き締めざるをえません。
 ところで、「ラスト・サムライ」に関する議論は、すでに過去ログからも消えているのですが、鈴木君、どうすれば見られるのでしたっけ?

過去ログの件

No.1788

過去ログはすでに第3巻に突入しています。

ラストサムライの議論については、過去ログ>>No.2の1ページ目に収録されています。

http://donkun.ath.cx/~sion/bbs/yyregi.cgi?mode=past&pastlog=0002&page=0

過去ログのページで、>>No.0002を選択して、「移動」ボタンを押すと、たどり着けると思います。

過去ログの操作方法はもう少し、改良する必要がありますね..後々、なんとかしたいと思います。

恐縮してます。

No.1790

野口先生、ご紹介ありがとうございます。それにしても、情報が早いですね。『本郷』は貰える部数も少なく、皆さんにお送りできず恐縮しておりますが、すでに予告したとおり、ここの掲示板での議論を下敷きにしております。美川先生を筆頭に、ここの掲示板で議論を展開された方々に深謝申し上げます。また、ここでの議論を下敷きにしたことを含めて、内容に関してご叱正ありますれば、謹んでお受けしたいと思います。特に武士道の変遷については、もうすぐご著書が出版される佐伯真一先生のお話を、先の屋島・壇ノ浦ツアーでお聞きした後では、勉強不足を恥じ入るばかりです。

いやいや

No.1791

 近藤先生には、この板を見る前に、既に個人的にメールで御注進したのですが、「武士道という虚構」、基本的には大賛成です。特に、「何よりも生きることを考える」武士道については、全くそのとおりだと思います。
 ただ、江戸時代以降の武士道を、一括りにし過ぎている感はあります。『葉隠』的な「武士道」と、儒教的な「士道」は分けて考える必要があるでしょう。また、新渡戸稲造は、古典における「武士道」の用例を全く知らず、自分の造語のつもりで、「騎士道」概念を援用しつつ「武士道」を新たに創作したので、それまでの「集大成」ではありません。
 その辺は、来月刊行予定の拙著『戦場の精神史―武士道という幻影―』に書きましたので、いずれご参照ください(もろにPRになってしまいました)。
 でも、私も正直言ってここ数年の俄勉強ですから、まだまだ見るべき文献がありそうです。「武士道」なんて、真面目に研究する対象ではないと、私を含めて多くの人が馬鹿にしていたと思うのですが、やってみて、やっぱりちゃんと考えておく必要があると思いました。それが現実の世の中を動かすような言論に関わって、必要とされてきているのだとすれば、まことに困ったものですが…。