『古代文化』特輯「平家と福原(仮)」構成案

No.1352

 『古代文化』上記特輯号の構成案がまとまり、先日、刊行委員会編集主任・関口力先生のもとにお送りいたしました。これから、正式な裁可をいただく段取りですが、掲載号は第57巻第4号(2005年4月)になる模様です。以下、構成案を示します(論文タイトルは、いずれも仮。敬称略)。

 「特輯にあたって」・・・・・・・・・・・・・・・野口 実(京都女子大学) 
 「平氏政権と福原」・・・・・・・・・・・・・・元木泰雄(京都大学)
 「福原の都市構造」・・・・・・・・・・・・・・山田邦和(花園大学)
 「『武士的居館』発生に関する一試論」・・・・・伊藤裕偉(斎宮歴史博物館)
 「平家の軍事空間」・・・・・・・・・・・・・・野口 実
 「『平家物語』における還都-山門奏状を中心に-」
                   ・・・・・近藤安紀(青山学院大学大学院DC) 
 
 原稿締切は本年末の予定です。正式な執筆依頼状は、近く古代学協会より送付されると思います。執筆者の皆様、なにとぞ宜しくお願いいたします。

 ☆ 考古学2、文献史学2、国文学1の論文で構成されます。
 NO.1178で申しあげましたように、編集作業の過程などにおいて、ゼミメンバーには積極的なお手伝いをお願いしたいと思いますので何卒宜しく。
  
 >佐伯真一先生。先日は、近藤さんへの御依頼につき、ありがたいお言葉を賜り、重ねて恐縮に存じております。

『紫苑』の正誤表について。

No.1353

 『古代文化』もさることながら、当ゼミ機関誌『紫苑』についての連絡です。
 『紫苑』第2号の版下は、すでに印刷所に回っており、近々製本が出来上がって、300部ほどが届けられることと思いますが、残念なことに、あれだけ編集長以下が頑張って校正を行ったにもかかわらず、すでにいくつかのミスのあることが判明しています(まあ、本を作る際に、多少の校正漏れは当たり前のことなのですが)。
 記名論文については、各自の責任もあり、また編集者も大いに神経を使ってチェックしたのですが、そうでないところ、例えば「活動記録」や「奥付」にミスがありました。
 そこで、「正誤表」を作って、配布前に挟み込んだ方がよいのではないかということを永富編集長に提案し、賛成していただきました。
 ということで、執筆者はもとより、ゼミメンバーの皆さんにお願いですが、PDF版をじっくり読んで「間違い探し」をしてください。そして、もし見付かりましたら、該当箇所を編集長にお知らせ下さい。
 なお、第1号における正誤表もあわせて作成しておいた方がよいと思いますので、特に論文・研究ノートの執筆者でお気づきのところがあれば、あわせてお知らせ下さい(将来に関わる人もいると思いますから)。
 なお、第2号の執筆者分の部数、ならびに諸方への発送などについても、御意見をいただきたいところです。
 発送作業などについては、メンバーの協力が必要です。よろしく、御協力下さい。

Re: 『古代文化』特輯「平家と福原(仮)」...

No.1354

 野口先生、全体構想、了解いたしました。なかなか面白い構成になったと思います。例の堀の問題で、関心が高まっている中で、インパクトのある論集になるものと思います。タダ、当方が足を引っ張らなければ、ですが。
 実を申すと、福原問題については、すでに公表いたしました二本の論文(「福原遷都考」「福原遷都の周辺」)で大体ネタを出し尽くしてしまいましたので、さてどんなことを書いたものかと、若干不安があります。引き受けておいてこんなことではお話になりませんので、少し今の時点での構想をお話しておきます。
 そもそも、考えてみれば「遷都」というのは、王権の根本を改変することであり、この問題を通して、「平氏政権」の性格、特質を再度検討してみたいと思います。清盛にとっての王権とは何か、どのようなものであるべきと考えていたのか、といった問題を遷都構想が変容してゆく時間軸の中で考えてみたいと思います。
 もう一点は、富士川合戦に出陣した藤原忠清が、六波羅を先祖の地として、十死一生の日を忌んだことに代表されるように、平氏内に家人も含めて親六波羅派が根強く存したことは間違えありません。彼らの動向と、政治的立場等も考えたいと思います。
 京に近い伊賀・伊勢を拠点とする家人にとって、福原への移転が果たして受け入れられるものだったのか。福原遷都は、祭祀面で厳島などの比重を大きくしましたが、家人などの立場はどうだったのか。小松殿一門などの政治的立場と、合わせて検討してみたいと思います。
 最後に、清盛独裁には相違ないのですが、高倉院、院の側近公卿や時忠、そして反福原の急先鋒になる宗盛、彼らの立場や役割、政権内での位置などを合わせて解明し、平氏政権のアキレス腱とされる後継者の問題も考えたいと思います。これで、宗盛の多少の復権が果たせるかどうか。
 今考えていることはこんなところです。夏休み明けの『台記』研究会や講義でお話しできれば、と思います。

 今年の仕事。日野町史40枚、NHKブックス350枚。吉川のライブラリ-(少し優先順位が低下気味)、清文堂の古代に人物の編集、そしてこの論文。後は第二論文集『武士政権成立史の研究』(塙書房)にできるだけ時間を割く・・・こういうのを取らぬ狸の何とかというのでしょうね。
 全学の学生部委員、本当に体が持つかどうか。まあ、肝要なことは適当にサボること、でしょうね。こんなことで骨身を削るために生まれてきたのではありませんから。

御高論楽しみです。.

No.1355

 元木先生。さっそく御返信ありがとうございます。
 ①清盛の王権にたいする構想と遷都の関係、②平家内部の福原遷都にたいする意見の分裂、③遷都と平家の後継問題のかかわり、といった論点、いずれも大変興味深く、大いに楽しみです。とくに②の六波羅へのこだわりについては、小生も六波羅をテーマにしているだけに注目していたところです。小松殿の家人の代表格である上総介忠清がこだわっていた背景には、とくに京都近郊の伊賀・伊勢平氏一族の意思がはたらいていたのかもしれませんね。なるほどと思いました。ここにお書きになられたことだけで、早くも多大な学恩を蒙らせていただきました。あつくお礼申しあげます。
 第二論文集、これこそ待望の書です。索引の作成と校正には長村君がおおいに活躍してくれることと思います。
 
 小生の今年の仕事。早くも正月に提出した畠山重忠をテーマにした論文の校正が届いていますが、これから、書評や一般向け雑誌の原稿などは除いて、なにしろまずはNHKブックスを仕上げたいと思っています。石浜さんの御依頼を受けて、そろそろ10年ですから。こどもなら、オギャーと生まれた赤ん坊が5年生になってしまう時間です。今年中に、なんとかしなければと思っています。タイトルは『源氏と海のネットワーク(仮)』。これが済むまでは次の著書の仕事にはかかれません。

Re: 『古代文化』特輯「平家と福原(仮)」...

No.1358

 野口先生、早速のお返事有難うございました。NHKブックス、従来の武士の通年を打破する画期的な書物になることと、期待しております。
 当方も意気込みだけはあるのですが、このところ仕事の速度ががた落ちで、取り掛かっても全然先に進まないことがしばしばです。計画倒れになるのではないかと何とも暗い気分です。情けない・・・。
 それはともかく、明日からゼミ旅行、天気の方はまずまずのようですね。道中ご無事で、実りあるご旅行となりますよう、お祈りいたしております。