「歴史は螺旋階段の如く進む」①

No.10124

 人々の無関心の中で、歴史が刻々と「ある方向」に流れていくことを感じています。ささやかな呟きであっても、このあたりで意思表示をしておかないと子孫たちからの不審を招くことになりそうです。私はまだ未来に希望をもっていますから。皆さんも是非。
 私も、「あの時」に御先祖がどんな対応をしたのか、気になることが多々あります。

 先に御紹介した井上満郞先生の御新著『桓武天皇と平安京』ですが、井上先生から、お手紙で、6ページ「桓武天皇関係地図」に重大な誤りのある旨、お知らせを頂きました。書き込まれている「上賀茂神宮」「下賀茂神宮」などという神社は存在せず、「上賀茂神社」「下鴨神社」が正しい表記であるということです。これは先生の確認のないままに印刷に回されたことによるとのことで、先生の御心中、察するにあまりあるものがございます。たしかに一般の人にとって、「神社」と「神宮」の区別など関心の埒外あるものかも知れませんが、古代史を専門にするものにとっては大問題とならざるを得ないでしょう。
 研究者は一般向けの本であろうとも矜持をもって執筆しているのですが、それが伝わらないことは、近年他でもまま知見することがございます。紙媒体による情報伝達が軽視される市場原理の世の中、出版業界も大変なのだろうとは思いますが。

「歴史は螺旋階段の如く進む」②

No.10125

卒論を書いている学生諸姉も、こういうところ気をつけてくださいね。言葉の使い方一つで、見る人が見れば、あなたの学問への取り組み方が露呈してしまうのです。

 ☆ 東北大学の柳原敏昭先生より、新刊の御共編著『講座 東北の歴史 第三巻 境界と自他の認識』(清文堂)を御恵送頂きました。
 柳原先生に、あつくお礼を申し上げます。
 収録されている入間田宣夫先生の論文に「越後白河幕府」とあったことに、ちょっと驚いております。

☆ 学振研究員の大薮海先生より、御高論「大乗院尋尊と東林院尊誉-興福寺東林院主職の相承と尋尊・尊誉による再興-」(『年報 三田中世史研究』20)・「中世後期の地域支配-幕府・守護・知行主-」を御恵送頂きました。
 大薮先生に、あつくお礼を申し上げます。
ちなみに、大薮先生は私にとって出身高校(千葉県立千葉東高校)の後輩にあたります。こういう御縁は大変うれしいことです。先生の今後の御活躍を大いに楽しみにしています。